質問への返答3
引き続き 国民健康保険飛騨市民病院 理学療法士 井出浩希先生よりいただいた回答です。
【なぜ高齢者にとってゼラチンゼリーはよいのに、コンニャクゼリーはダメなのでしょうか?】
コンニャクゼリーは体温で溶けない、咀嚼しにくいので、一つ一つの塊が大きくなりやすいです。
そのためしっかりと空気の通り道を塞いでしまう、つまり窒息しやすいです。
ゼラチンゼリーは咀嚼や体温で溶けることにより1つの塊が小さくなりやすいので、飲み込みがうまくいかなくても窒息は免れやすいです。
ただし誤嚥はしやすいです。
元気な高齢者であれば、誤嚥しても重篤な誤嚥性肺炎を起こすことはありません。
ムセる力もありますし、抵抗力もあるからです。ですが、窒息元気な高齢者でも大変危険で死に至ります。
なのでコンニャクゼリーは高齢者には危険なのです。
寒天はどうでしょうか?
滑りやすさはゼラチンゼリーとあまり変わらないと思います。
離水はしにくいですが、咀嚼した場合にバラバラになりやすいです。
固さはコンニャクゼリーとゼラチンゼリーの間くらいと思います。なので、場合によっては誤嚥もしやすいし窒息もしやすいと考えます。
プリンは?
プリンの物性を考えてみると、プリンもゼラチンや寒天などを使用して固めていれば表面の滑りやすさや離水については変わりありません。
そのため丸呑みすると誤嚥や窒息しやすいと思われます。
嚥下障害の患者さんにプリンではなくゼリーが好まれる理由としては、プリンは原材料として牛乳などの乳製品を使用していますのでタンパク質や脂肪分を含んでいます。
タンパク質は誤嚥したときに菌の栄養になりやすく、肺炎を起こしやすいと言われています。
タンパク質を含まないゼリーが好まれています。
またタンパク質や脂肪が入ることにより咀嚼したり、舌で押しつぶした際の物性がゼリーとは変わってきます。
タンパク質や脂肪分は粘膜にくっつきやすい性質を持っています。ですので、残留した場合にゼリーよりもノドに張り付きやすいので、誤嚥はしにくくなる可能性があります
つづきます
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